群龍天に在り(webディレクターと歴史好きの雑記帳)

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書評:藤井青銅『 「日本の伝統」の正体 』

読んでちょっと困ったなと思った。


要するにこの著者は「日本の伝統は大ウソ」と言いたいだけであり、細かな事実の考証はどうでも良いのかと思う。「○○はいつ始まった」と書いてあるがその典拠はどこなのか、なぜそう判断したのかほとんど書かれていない。これは懐疑論・偽史批判としては問題だと思う。辞書の記述を元にしたとすれば大問題である。辞書はしばしば誤っているから。

例えば「江戸しぐさ」の項目は原田実先生の労作『江戸しぐさの正体』の丸写し以上のものはほとんど無い。そういえば江戸っ子狩りについて全く触れていないのはどういうわけか。あれがあるから偽史なのである。

「武士道」の項目は安易な新渡戸武士道批判だけになっており、笠谷和比古氏らの近年の武士道研究の成果が全く生かされていない。
笠谷氏らの研究により、江戸時代に武士道という言葉が使われていた複数の用例があるのだが、
著者の藤井氏はそれに全く触れない。
新渡戸の武士道はまるで江戸しぐさのような創作実話であり、戦国~江戸時代の「武士道書」と全く異なることにふれないのはどんなものであろうか。

また、「初詣は明治以降の伝統」と書いているが、これも定義により遡りうることが可能である。私も人のことは言えない。この本の著者と同じような雑学記事を雑誌に書いて指摘を受けたことが有り再度勉強し直したから。

江戸時代の幕臣・屋代弘賢が諸藩に命じて各地の年中行事を調査させた『諸国風俗問状』には、複数の初詣の記録がある。これを見ると「初詣」という言葉は明治以降で新しいが、初詣の古い形である「おけら参り」「恵方参り」「二年参り」などはかなりアチコチでやっている。

秋田藩の記録には、

「元日、八幡詣。
元日、(藩士は)久保田城の鎮守の両八幡宮にお参りしてから登城する。城からも代参が出る」
大和高取藩の記録には、
「元日、祇園(現・高取町の素戔嗚命神社か?)に火を貰いに行きます。おけの火と言っています。おけら参りのなまりだと思います。伊勢国でも伊勢神宮に年末から『年取参り』をしているそうです。吉野山蔵王権現に大晦日の夜お参りして火をもらってくる人も居ます」

丹後峰山藩の記録には、
「正月2日、3日に恵方参りをする。吉方位の神社にお参りをする。そのやり方は他の地方と変わらないと町年寄たちから聞き取りをしました」とある。
(いずれも意訳、中山太郎編『諸国風俗問状答 : 校註』東洋堂に依った)

全体的に作りが雑なように思われる。

漢字をユダヤ人が作ったというトンデモ話

「と学会誌40」に寄稿させていただきました。

コミケの下記のブースにて販売されます。コミケに行かれる方はお立ち寄り頂き、
お手にとっていただければ幸いでございます。
 31日東ニ29b「と学会」 
 31日東テ32b「カラオケの艦隊」 
 31日東ナ60b「TDSF」 
 31日東ニ46a「暗黒通信団

私は漢字をユダヤ人が作ったというトンデモ話「漢字破字法」について書かせていただきました。

漢字の語源やらなにやらをご存知のかたからすればまさしく噴飯物の「漢字破字法」ですが、
「漢字の中にはキリスト教が隠されている」「漢字は中国人には作れなかった」などなど
トンデモ界隈ではわりかし人気があります。

「漢字破字法」は「船は舟と八と口だからノアの方舟に乗っていた八人の家族のことだ!」と、楷書体の漢字を分解して、聖書の暗号を読み解いてしまっているんです。
まぁ、金八先生風に「君たちいいですか〜。人という字はねぇ、ひとりの「人」がもうひとりの「人」を支えている字です。つまり、人と人が支え合ってるから人なんです。」というようなデマをバンバン飛ばしているだけなんですけどね。

なお最古の漢字解釈書・『説文解字』では「人」を「臂(ひじ)脛(すね)の形を象(かたど)る」とありまして人間を描いた象形文字です。だからかなり古い辞書でも「
ひとりの「人」がもうひとりの「人」を支えている字です。」という解釈はマジでありえない。ぶっちゃけありえない。

つまり、金八先生は辞書を引いていなかった。教育者として正しい態度なのか?
(最近では『辞書引き学習』というのもあるのですが)

詳しくは同人誌を読んでいただければと思います。
なお、漢字に詳しい方からすると「白川静を引用しないでなんで藤堂明保なんだ」と思われるかもしれませんが、『字通』の船の解字が本当にわかりづらいんですよ。言ってることほぼ藤堂先生と同じだしな。
(私は藤堂明保先生の不肖の孫弟子に当たります)

しかも若干トンデモっぽいんですよ白川静氏の解釈。

「『越絶書』(春秋時代の呉越の戦いを描いた史書)に、船を越では須盧(シュロ)というとある。我が国の「シュラ、シュシュシュ」のシュラは元、舟形のそりをいう語であろう」と白川氏はいうのですが、
俗謡「金毘羅船々」の
「シュラ、シュシュシュ」は運搬用のそりである「修羅」ですよね…

トンデモでトンデモを批判してはいけないので藤堂明保先生の解釈にしました。

大河ドラマ一覧表

大河ドラマの一覧表を作ってみた。
実は余計なデータが入っているものが多くシンプルなものがないので、自分用に作った。
元データはこれだが、元の表が新しい順なのを古い順に直した。
主役の人の後ろの「実在・架空」というのはその人物が歴史上居たかどうかである。
なお、元データが入道名・通称・雅号で表記されている場合はすべて諱を付した。
前近代の女性は北政所を除き全て院号を付した。


タイトル 放映期間 主役の俳優・女優 主役 実在・架空
第1作 花の生涯 1963(昭和38)年4~12月 尾上松緑 (井伊直弼) 実在
第2作 赤穂浪士 1964(昭和39)年1~12月 長谷川一夫 (大石内蔵助良雄) 実在
第3作 太閤記 1965(昭和40)年1~12月 緒形拳 (豊臣秀吉) 実在
第4作 源義経 1966(昭和41)年1~12月 尾上菊之助 (源義経) 実在
第5作 三姉妹 1967(昭和42)年1~12月 岡田茉莉子 藤村志保 栗原小巻 架空の三姉妹 架空
第6作 竜馬がゆく 1968(昭和43)年1~12月 北大路欣也 (坂本竜馬直柔) 実在
第7作 天と地と 1969(昭和44)年1~12月 石坂浩二 (上杉謙信入道輝虎) 実在
第8作 樅ノ木は残った 1970(昭和45)年1~12月 平幹二朗 (原田甲斐宗輔) 実在
第9作 春の坂道 1971(昭和46)年1~12月 中村錦之助 (柳生宗矩) 実在
第10作 新・平家物語 1972(昭和47)年1~12月 仲代達矢 (平清盛) 実在
第11作 国盗り物語 1973(昭和48)年1~12月 平幹二朗 (斎藤道三入道秀龍)、 実在
第12作 勝海舟 1974(昭和49)年1~12月 渡哲也、松方弘樹 (勝海舟安芳) 実在
第13作 元禄太平記 1975(昭和50)年1~12月 石坂浩二 (柳沢吉保) 実在
第14作 風と雲と虹と 1976(昭和51)年1~12月 加藤剛 (平将門) 実在
第15作 花神 1977(昭和52)年1~12月 中村梅之助 (大村益次郎英敏) 実在
第16作 黄金の日日 1978(昭和53)年1~12月 市川染五郎 (呂宋助左衛門某) 実在
第17作 草燃える 1979(昭和54)年1~12月 石坂浩二 (源頼朝)、 実在
第18作 獅子の時代 1980(昭和55)年1~12月 菅原文太 (平沼銑次)、 架空
第19作 おんな太閤記 1981(昭和56)年1~12月 佐久間良子 (北政所浅野ねね) 実在
第20作 峠の群像 1982(昭和57)年1~12月 緒形拳 (大石内蔵助良雄) 実在
第21作 徳川家康 1983(昭和58)年1~12月 滝田栄 (徳川家康) 実在
第22作 山河燃ゆ 1984(昭和59)年1~12月 松本幸四郎 (天羽賢治)、 架空
第23作 春の波涛 1985(昭和60)年1~12月 松坂慶子 (川上貞奴) 実在
第24作 いのち 1986(昭和61)年1~12月 三田佳子 (岩田未希) 架空
第25作 独眼竜政宗 1987(昭和62)年1~12月 渡辺謙 (伊達政宗) 実在
第26作 武田信玄 1988(昭和63)年1~12月 中井貴一 (武田信玄) 実在
第27作 春日局 1989年(昭和64年・平成元年) 大原麗子 (斎藤福[春日局]) 実在
第28作 翔ぶが如く 1990(平成2)年1~12月 西田敏行 (西郷隆盛)、 実在
第29作 太平記 1991(平成3)年1~12月 真田広之 (足利尊氏) 実在
第30作 信長 1992(平成4)年1~12月 緒形直人 (織田信長) 実在
第31作 琉球の風 1993(平成5)年1~6月 東山紀之 (啓泰) 架空
第32作 炎立つ 1993(平成5)年7月~ 渡辺謙 (藤原経清・泰衡/2役) 実在
第33作 花の乱 1994(平成6)年4~12月 三田佳子 (日野富子) 実在
第34作 八代将軍 1995(平成7)年1~12月 西田敏行 (徳川吉宗) 実在
第35作 秀吉 1996(平成8)年1~12月 竹中直人 (豊臣秀吉) 実在
第36作 毛利元就 1997(平成9)年1~12月 中村橋之助 (毛利元就) 実在
第37作 徳川慶喜 1998(平成10)年1~12月 本木雅弘 (徳川慶喜) 実在
第38作 元禄繚乱 1999(平成11)年1~12月 中村勘九郎 (大石内蔵助良雄) 実在
第39作 葵 徳川三代 2000(平成12)年1~12月 津川雅彦 (徳川家康)、 実在
第40作 北条時宗 2001(平成13)年1~12月 和泉元彌 (北条時宗) 実在
第41作 利家とまつ 2002(平成14)年1~12月 唐沢寿明 (前田利家)、 実在
第42作 武蔵 2003(平成15)年1~12月 市川新之助 (宮本武蔵) 実在
第43作 新選組! 2004(平成16)年1~12月 香取慎吾 (近藤勇昌宜) 実在
第44作 義経 2005(平成17)年1~12月 滝沢秀明 (源義経) 実在
第45作 功名が辻 2006(平成18)年1~12月 仲間由紀恵 (見性院・若宮千代) 実在
第46作 風林火山 2007(平成19)年1~12月 内野聖陽 (山本勘助晴幸) 実在
第47作 篤姫 2008(平成20)年1~12月 宮﨑あおい (天璋院・島津篤子) 実在
第48作 天地人 2009(平成21)年1~11月 妻夫木聡 (直江兼続) 実在
第49作 龍馬伝 2010(平成22)年1~11月 福山雅治 (坂本竜馬直柔) 実在
第50作 江~姫たちの戦国~ 2011(平成23)年1~11月 上野樹里 (崇源院・浅井江) 実在
第51作 平清盛 2012(平成24)年1月~12月 松山ケンイチ (平清盛) 実在
第52作 八重の桜 2013(平成25)年1月~12月 綾瀬はるか (新島八重) 実在
第53作 軍師官兵衛 2014(平成26)年1月~12月 岡田准一 (黒田官兵衛孝高) 実在
第54作 花燃ゆ 2015(平成27)年1月~12月 井上真央 (杉文) 実在
第55作 真田丸 2016(平成28)年1月~12月 堺雅人 (真田信繁) 実在
第56作 おんな城主直虎 2017(平成29)年1月~ 柴咲コウ (井伊直虎) 実在
第57作 西郷どん 2018(平成30)年1月~ 鈴木亮平 (西郷隆盛) 実在
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