群龍天に在り(webディレクターと歴史好きの雑記帳)

webディレクター兼雑誌記者の松平俊介が書いているブログです。

web技術者・web記者の松平俊介の江戸時代とweb技術についての雑記ブログです。web技術者の傍ら、雑誌記者として各種月刊誌・webメディア『ガジェット通信』に執筆してきました。 webの時事問題や、web制作、ウェブマーケティング、江戸時代史や『江戸しぐさ』批判などが主な執筆範囲。 これまで書いてきた主な記事→http://rensai.jp/author/touryuuuan

マスコミは何故「薨去」の語を用いないのか…各社に回されているお達しから考える 故・三笠宮家寛仁親王のご逝去(薨去)を謹んで哀悼させて頂きます

長いタイトルですが、「ヒゲの殿下」として親しまれた三笠宮家の寛仁親王様が昨日ご逝去(薨去)されました。
謹んで哀悼させて頂きます。
さて、漢語表現でしばしば問題になるのは、皇室敬語の問題です。今回の寛仁様の件も、
逝去なのか薨去なのか実にわかりづらい。だから、安っぽいマスコミ批判をする人が、

「寛仁親王様の場合は逝去じゃないだろ!薨去を使えよ!
マスゴミが日本語もろくに知らないなんて!これだから記者クラブに(以下略
売国勢力に支配されて(以下略」

みたいなことをいってる人が仰山湧いているわけですが、
実は逝去って薨去より上だし、皇室敬語として間違いでもないんですよ。
記者クラブも偏向報道もこの場合はなんにも関係がないんだよなあ。

古代からさかのぼってみてみましょう。
まず、この手の文言をもっとも古く取り決めたのは古代シナの儒者連中です。
五経の一、『礼記』の中で、礼の細則を儒者連中が合議して取り決めた記録「曲礼」にありまして、これが東アジアのしきたりになっていたわけです。

「天子の死は崩(ほう)と曰(い)ひ、諸侯は薨(こう)と曰ひ、大夫(たいふ)は卒(そつ)と曰ひ、士は不禄(ふろく)と曰ひ、庶人は死と曰ふ」と決めているわけです。

で、諸侯というのは日本で言えば宮様なんで、薨去で正しそうな気もしますし、日本の律令制では親王や三位以上の死は薨去といっていたのだからそれでいーじゃんと言えそうな気もしますが、ことはそれほど簡単ではない。

■崩御と同格の言葉だった「逝去」!『三国志』の著者・陳寿が旧主・劉備のためにわざわざ使う?

実を言うと、「逝去」(せいきょ)は崩御に準ずる言葉なのです。
「逝去」(せいきょ)
「殂落」(そらく)
の二語は、皇帝の死を指す忌み言葉
なのですが、これ、前に出した儒者の取り決め「礼記」以前の儒家用語だったフシがあるんです。要するに古代の帝王の死を指す忌み言葉のようです。堯帝・舜帝の亡くなった時に、「崩御」と同じ意味で使っているわけです。例えば、書経〔舜典〕には「勛、乃ち殂(ゆ)く」の語が見えます。
藤堂明保氏は、殂と逝を類義とし、「殂は身分の高い人が死ぬこと、逝去する。死ぬことを忌んで『ゆく』といった」(同氏『学研漢和大字典』)とします。
まあ、合議した時に「皇帝はお一人しかいないから、用語も崩御だけで十分じゃん」ということで規則から漏れたのでしょうが…
それを復活させたのは、『三国志』の著者・陳寿でした。御存知の通り、三国志の時代は皇帝三人という時代なので、
曹丕・劉備・孫権の三人の皇帝の皇室用語をどうするかはかなり問題です。で、陳寿はこうしました。

曹丕…一番領土が広いし、後漢から皇帝位を引き継いでいる正統な皇帝だから「崩御」
劉備…昔、自分は蜀の家臣だったので、えこひいきして、皇帝並みということで「逝去(殂落)」
孫権…どうでもいいので諸侯並で「薨去」


陳寿ヒデエ…蜀は一番三国志で弱くて小さいのに、えこひいきで劉備を皇帝並みとかありえん…
高島俊男先生も著書『三国志人物縦横談』で、
陳寿は不公平だといって厳しく批判されてますが、御存知の通り『三国志』はベストセラーですから、
「逝去」という言葉がにわかに復活してしまったわけですね。
で、この用語が今回の件でまたしても復活したのはこういう経緯です。

■「薨去」が使えない漢字だったので、「逝去」復活!
マスコミの元締めである社団法人・共同通信社という組織がありまして、
ここには新聞テレビ・ラジオ・週刊誌・ネットニュースまでぶらさがっているわけですが、
ここは各社で会議をして報道用語も取り決めています。で、取り決めは
一般企業でも使えるように『記者ハンドブック 新聞用字用語集』という本になってまして、
大きい本屋だと置いてあることもある。あんまり見ないけどね。

記者ハンドブック 第12版 新聞用字用語集記者ハンドブック 第12版 新聞用字用語集
(2010/10/27)
一般社団法人 共同通信社 編著

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序文には「マスコミ各社の合議による統一性を尊重して、共同通信社及び加盟各社の意見を取り入れ…」と仰々しく書いてあります。

死亡記事の規定とフォーマットも定められているのですが、(数ページに渡り事細かに決まっている)
そこでの規定は「死去」なんですね。一般人は官位があろうとなかろうと「死去」。
「庶人は死と曰ふ」という礼記の規定がここでも残っているのかと思うと驚きますね。

で、皇室は別扱いでして、「皇室には原則として敬語を用いることが国民感情にも合っている…」とわざわざ書いてあります。
で、多分問題になったのは、宮内庁からもらったリリース内の「薨去」という文言です。
なぜか。薨(こう)という字は常用漢字ではないんですね。常用漢字は文科省とマスコミの取り決めですから記事の見出しでは使えない。リリースはいいんです。お客さんがいっておられることはそのまま書きます。書き換えたら捏造になっちゃう。
でも見出しは困る。そこで薨去より上で、普段使わない「逝去」を持ってきた。ということだと思います。

で、野田首相や最高裁判所長官(要するに三権の長)のコメントはリリース通り「薨去」
見出しと本文は「逝去」つうことになったのではないか?と思うわけでした。

そして3月11日が巡ってきた

あの忌まわしい日からようやく1年が経った。1年経ってようやく少し振りかえれるような気がする。

あの日、私は神奈川県の客先から帰る途中で、途中で電車が止まって帰れなくなり、そのまま漫喫で
一夜を明かしたのを覚えている。テレビで見る東北の惨状すさまじかったが、私はとにかく何とかして
生きなければならないと考えていた。不安な一夜を明かしたが、眠れなかった。その日は
夜中全く眠れなかったので持っていた中谷厳氏の「資本主義は何故自壊したのか」を読んでいたが、
読んでも読んでも机上の空論のように思えた。そこでマンガ喫茶で本宮ひろ志のマンガ「猛き黄金の国 道三」
を借りて読んだが、こっちの方がよほど慰めになった。東北の惨状、周囲の状況を考えると日本はどうなるかと
不安であった。斎藤道三の力強い生き方を読んで「自分の道は自分で切り開くのみだ」と思った。

家に帰り着いたのは翌日の12時過ぎ。結局神奈川を出た後都営線と東京メトロ千代田線以外は動かなかった。
JR常磐線は確か3月14日まで動かなかったと記憶している。家に帰ると植木は倒れ床にガラスと本が散乱していて
片付けにまる1日かかった。15日電車動く。出勤しても営業活動が中々十分に進まず。千葉には物資が余り
なく、アメ横で物を買って帰ったりしていた。電車がまともに動かないので電車の中で将棋の本ばかり
読んでいた(詰将棋や定跡を頭の中で考えていると気がまぎれるので)。

今日は震災のことをテレビや新聞で見ていたが、東北の状況は私などよりも遥かにひどいものであった、
想像をはるかに超えて恐ろしい状態だったのだと知り謹んで犠牲者の冥福を祈るのみである。

平清盛のビデオリサーチ視聴率が悪かった。でも、視聴率が悪ければ悪い番組ではないよという話

掲題の件、報道の通り、非常にビデオリサーチの視聴率が悪かったということです。
そのため、大河ドラマ「平清盛」を褒める意見も殆ど無く、失敗だ失敗だと騒ぐ連中が多く、
大変がっかりしております。
まず、日経の記事を引きます。
「8日に放送が始まったNHK大河ドラマ「平清盛」の初回視聴率(総合テレビ)が関東地区で17.3%、関西地区で18.8%だったことが10日、ビデオリサーチの調査で分かった。

 昨年の「江~姫たちの戦国~」の初回視聴率は関東21.7%、関西20.9%だった。歴代大河ドラマの関東地区での初回視聴率としては、調査方法が現在とは異なるものも含まれるが、1989年の「春日局」14.3%や77年の「花神」16.5%に次ぎ、72年「新・平家物語」と並ぶ過去3番目の低視聴率となった。〔共同〕」
日経は単に事実を書いているだけですが、低俗な週刊誌やニュースサイトではこの数値を元に直ちに「平清盛」は失敗とかき立てている所があるのは非常に嘆かわしい限りです。
なんぼなんでも、あのドラマはそれほど批判されるものとは思えませんでした。忠盛のアクションもいいですし、子役の坊やも大変上手でした。ボクは取り敢えず次回も見ますよ。ボクは天邪鬼な所があり、家政婦のミタ、でしたか、ああいう高視聴率のドラマはなぜか嫌いで、見る気がしないのです。

ひとつ言いたいことがあります。

視聴率というのはひとつの統計指標(しかも、サンプル数の極めて少ない統計で、あまり正確な数値でもない!)に過ぎない。一つの統計指標をここまで血眼になって騒ぎまわり、視聴率が高ければ良い作品、悪ければ悪い作品と判断するのは、ちょっとおかしい。
広告業界や、マーケティング関係者の間では視聴率という指標はとっくに重要視されなくなっている。騒いでいるのは一部の芸能メディアだけだ。

少し上記の話は説明が必要でしょう。まず視聴率というのは関東全域1779万世帯の中から、わずか600世帯を対象として集計しているのです。統計というのはどんな小さいサンプルでも一応は取れるものですが、それにしても少ないです。

雑誌「財界展望」1月号で、各社のテレビCM担当者の座談会が出ていますが、一様に視聴率を信用していないようでした。私もwebプロモーションの傍ら、メディアミックスを提案することもあり、テレビやラジオのCMをお話することもあるのですが、お客様とお話する時に、視聴率だけでお話することはまずありません。番組や出演者のネット上でのインデックス数、月間検索数、雑誌紹介記事等を含めて総合的に判断して頂いているのです。最近のお客様も、視聴率だけでは納得される方は中々いないと思います。みなさん、広告のプロですし…

「NHK「平清盛」、初回視聴率が歴代ワースト3 「惨敗」は昨夏から決まっていた!」等という馬鹿げた報道をしているサイトがあります。視聴率信仰も程々にしたほうが良いと思います。
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