私の記憶だと、直下型地震という言葉が一般に言われるようになったのは1995年(平成7年)1月17日に起き、甚大な被害と多くの犠牲者をもたらした「阪神淡路大震災」が契機だったと思う。

 ところが、 江戸しぐさではなんと江戸時代に直下型地震が知られており、それを江戸っ子が江戸しぐさで直下型地震を予知・予言し、対処するための「なます講」まで作られていたというのである!!現代の地震学もビックリである。
越川禮子『身につけよう!江戸しぐさ』KKベストセラーズ

P103 ◎地震にそなえた「なます講」

突然やってくるのが地震です。江戸の地震は六〇年に一ぺんは「なまずの天地がえし」といって、上下動の直下型地震と見極めて、城普請も石づくりの土台だけにしたといいます。倒れた時の圧死を防ぎ、下敷きになった人の救出や、後片付けを楽にするための配慮だったそうです。

建物もお城や大名屋敷には地震部屋、町には一定の間隔ごとに避震小屋に、はすかい(X字型)に組んだ支柱を入れるなどの建築様式を取り入れていました。

かねてより「なます講(「ず」と濁らない)」が編成されていて、ぐらっときたら「それっ!」と、直ちに救援活動、炊き出しが始められました。

いざというときにはマニュアルは無視して、「飛び越ししぐさ」で対処しなければならないのは百も承知。江戸っ子の身のこなしの素早さには定評があったそうです。

危急存亡の非常時には、お上は手が回らず、町方が自主的に協力しあい、相互扶助の助け合いがなければ命が助かりません。

こうした敏捷なおとなの行動を、後進の者たちは経験的学習から悟っていったのです。
江戸の教えに「稚児は予想できないから慌て、おとなは予想できるから慌てぬ」というのがあります。
これこそ江戸しぐさの真髄です。
ひと目先を読むひらめきを身につけるのが江戸しぐさですから。

これはちょっとあまりにもぶっ飛んだ設定で、当方も腰を抜かしたのであるが、しかし江戸っ子は何故地震予知が出来たのであろうか。

江戸しぐさでは、それを江戸っ子の超能力「ロク」によるものだとしている。
◎江戸しぐさ「ロクを養い、ロクを利かす」
「突然やってくる大地震を、ロクによって察知するとしないでは…ちがうでしょう?!」
江戸しぐさ
※越川禮子監修:新潟江戸しぐさ研究会構成・著、斉藤ひさお(マンガ)
マンガ版「江戸しぐさ」入門 より

そう、江戸しぐさは超能力だったのである!!もう、なんなんだか…
こういうものを教科書に載せる出版社も、なにを考えているんだろうか… 

なお、歴史的には江戸しぐさの伝承とは例によって反しており、
◎元禄16年11月23日(1703年12月31日)午前2時に発生した元禄地震は、直下型ではなく関東地震(関東大震災)と同タイプの海溝型地震。
江戸の損傷は軽微だったが小田原宿では死者約2,300名という。

◎安政2年10月2日(1855年11月11日)の安政江戸地震で「町方の死者は4293人、負傷者は2759人(町奉行所調べ)」を出しており、ロクを利かせた江戸っ子がいたわりには、多数の死者を出している。