浅草寺の子院に当たる待乳山聖天宮について、最近よく参拝させていただいており、知見が深まったので、
いくつかメモをしておく。

・待乳山聖天宮は古くは真土山と書いた。谷戸貞彦氏の『七福神と聖天さん』によれば、この地には元々隅田八幡神社が有り、紀州からの居住者が八幡宮を聖天宮に改めたというのである。この説は待乳山聖天の縁起とも違っており、隅田八幡神社なる神社もよく分からない。一応、参考として書いておく。

・待乳山聖天は本尊の聖天さま(大聖歓喜天)を秘仏とする。これは他の聖天を祀る寺院でも同様に秘仏扱いである。理由としては、真鍋俊照氏が「大聖歓喜天を秘仏とする理由は、法力が損なわれるのを恐れているからである」というのが最も腑に落ちる。二天が抱擁しているからというのは殆ど意味を成さないと思う。二神抱擁の道祖神像が普通に道端にあるのだから…

・待乳山聖天の経本には、般若心経と観音経と諸神の真言がある。真鍋俊照氏によれば、
○鎌倉時代に、聖天さまのバチを受けないよう、常に観音経を読むべきだという行法書が書かれた。
○鎌倉時代の聖天様の行法の記録では、いろいろな神仏のご祈願も一緒にやっている。
ということなので、そういう経緯で付け加わったのだろう。最澄の歓喜天講式では、単に聖天様の真言を
三回唱えよとあり、善無畏訳の行法書でも「聖天様の真言を108回唱えよ」とあり、
古くは真言のみであったようだ。

・大聖歓喜天の二天は、太田古朴氏によれば鬼子母神(女性)と観自在菩薩(男性)であるという。ちょっとこれも通説と違うが、一応書いておきます。