群龍天に在り(webディレクターと歴史好きの雑記帳)

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トンデモ本

拙稿『トンデモ南朝史の系譜』参考文献

と学会様の論集『と学会25thイヤーズ!』(と学会・編、東京キララ社・刊行)に、拙稿 『トンデモ南朝史の系譜』を掲載していただきました。過日行われた「と学会25周年記念大会」にて先行販売されました。もう書店にも並んでいます。是非お買い求めください。




拙稿では、南北朝合一以降の、いわゆる「後南朝」にまつわるトンデモ話「西陣の南帝」「黒田家譜」「江源武鑑」「熊沢天皇」「明治天皇すり替え説」「長州忍者」「大室天皇」「フルベッキ写真」「朝霧の巫女」などについて書かせていただいております。

まあ、昨今Twitterで話題の「田布施システム陰謀論」の入門編というところでしょうか。

読者の方からは「南朝にまつわるトンデモがわかりやすく解説されており面白かった」と声をいただきました。生まれて初めて著書にサインもしたのですがいやー気恥ずかしいこと気恥ずかしいこと。

皆様、是非ご購読いただけましたら幸いでございます。

8月に唐沢俊一先生を始めとすると学会の諸先輩の方々よりお話をいただき、休みを利用して一気に書き上げたものです。
紙幅の都合で参考文献は文中のみ掲載させていただきましたので、この場を借りてそれ以外の文献も記し、学恩に感謝させていただきます。特に原田実先生、森茂暁先生、兵藤裕己先生の論考には多くを学ばせていただきました。

なお、これだけですと面白くないので、本の紹介も少しさせていただきます。

※追記 出版記念イベントで『トンデモ南朝史の系譜・余談』ということで講演?させていただきましたが、それで参考にさせていただいたものも加筆しました。ウィキペディア、辞書のたぐいも多いのですが、流石に省略しました。

原田実『熊沢・長浜・大室・・・・・・「ニセ天皇」かく語りき』(新潮45『総力特集 明治・大正・昭和 皇室10大事件簿』所収、新潮社)
斎藤充功『「フルベッキ写真」の暗号』学研プラス
森茂暁『闇の歴史 後南朝』角川文庫ソフィア
佐藤進一『日本の歴史 南北朝の動乱』中央公論社
皿木喜久『明治という奇跡』展転社
ホームページ『舎人学校』
兵藤裕己『太平記読みの可能性』講談社学術文庫
安藤英男『史伝 黒田如水』学研M文庫
諏訪勝則『黒田官兵衛』中公新書
鈴木幸治&播磨黒田氏研究会ホームページ『播磨黒田氏 黒田官兵衛』
http://www.geocities.jp/kurodazensi/
NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』

原田先生の『熊沢・長浜・大室・・・・・・「ニセ天皇」かく語りき』はこの分野の先駆的文献。生前の大室天皇へのインタビューも入っています(!)

森茂暁先生の『闇の歴史 後南朝』はとにかく面白い。なんといっても「後南朝」というトンデモか伝奇小説のネタにしかなり得ようもないもののに、学術的にアプローチするという姿勢がすごい。専門家の労作です。隆慶一郎とか山田風太郎が好きな人は本当にオススメ。

兵藤裕己先生の『太平記読みの可能性』講談社学術文庫も本当にインタレスティングな本で、もう一つのウラ太平記、講談の『太平記秘伝理尽抄』を世に出したのは兵藤先生のこの研究がもと。井沢元彦さんが『逆説の日本史』で取り上げたのでご存じの方はご存知でしょう。

安藤英男先生の『史伝 黒田如水』学研M文庫は楽しい本で、いわゆる黒田官兵衛がらみの古記録・伝承を現代語訳したもの。これを見つけたときには「なんて便利な本なんだ」と思いましたね、あの難解な黒田家譜にようやくよじ登るきっかけが出来たんですから…黒田官兵衛、中々立派な人だったのだな。ちょっと講談的に、えらくされすぎているところもありますけどね。目薬売りの商人の息子から五十二万石の大藩の藩祖になっただけのことはあります。

諏訪勝則氏の、『黒田官兵衛』中公新書と鈴木幸治氏&播磨黒田氏研究会ホームページ『播磨黒田氏 黒田官兵衛』は黒田官兵衛関係の厳密な考証で、『史伝 黒田如水』に出てくる古記録・伝承の怪しげなところを解明しています。新井白石が黒田藩の黒田官兵衛の系図に疑問視したようなことをいっていたことは諏訪先生の本で知ったのです。鈴木氏の見解と諏訪氏の見解は実は食い違うのです。これは今後の研究課題でしょう。目薬売だった官兵衛の父親(祖父?)の黒田重隆のことはまだまだ謎だらけです。NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』、実は衣装デザインが黒澤和子氏なので、七人の侍の現代版のようでなかなか面白かったです。そういえば主演の官兵衛くん岡田准一氏が結婚されたのですね。相手が島津篤子さんだとは思わなかった。はい、「容儀人に優れてうるはし」い、あおいちゃん(http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E3%81%82%E3%81%8A%E3%81%84)のほうです。



この他、跡部蛮氏、大野芳氏、麻生芳伸編『落語百選』なども参考にさせていただきました。

竹田日恵『後醍醐天皇』明窓出版
鹿島昇『裏切られた三人の天皇』新国民社
宇河弘樹『朝霧の巫女』少年画報社
加治将一『幕末維新の暗号』祥伝社

ご覧の通り、「田布施システム陰謀論」などなど陰謀論系の本です。当否は読んで判断せられよ。

兵藤裕己校注『太平記』岩波書店
新井白石『藩翰譜』吉川半七版・国立国会図書館デジタルコレクション
貝原益軒『黒田家譜』・国立国会図書館デジタルコレクション
司馬貞『補史記・三皇本紀』早稲田大学蔵本
堀田正敦『寛政重修諸家譜』国民図書・国立国会図書館デジタルコレクション
三田村鳶魚解題『柳営婦女伝系』(国書刊行会・「柳営婦女伝叢」所収)国立国会図書館デジタルコレクション

すなわち古記録の類です。

その他・各種ホームページを参考にさせていただきました。ここにあつく御礼申し上げます。

「現場の空気を感じれば歴史事実が浮かぶんだ!」原田伊織『明治維新という過ち』『官賊と幕臣たち』の謎な箇所

原田伊織『明治維新という過ち』『官賊と幕臣たち』(毎日ワンズ)という本を読んだが、「いやちょっとこれはなんなのよ」という所が多すぎるように思う。随時更新します。(ツッコミどころ多すぎるんだよね)

○歴史家は史料を読まなくても良い!その場にたたずめば皮膚感覚で史実が分かる!
原田伊織端書
まず『明治維新という過ち』の端書きから。
「私は元々書き物だけが資料だとは思っていない。京都・八坂通りの夕靄の中に佇めば、会津藩士や新撰組隊士が腰をかがめて長州のテロリストを求めて疾駆する姿が眼前に浮かび上がるだろう。

(中略)歴史を皮膚感覚で理解するということはその場の空気を感じ取ることだ。
な、なんですか?

「歴史現場に行って空気を感じれば歴史が理解できる?!」

超能力者かな?FBI超能力捜査官かなにかかな?

なお、この本を出した後アマゾンレビューがプチ炎上したので、それに対する釈明を続書『官賊と幕臣たち』で書いているんですけどこれもすごい。

「近年、何かにつけて一次資料だ、二次資料だと、参考資料に関することを批判、反論の材料とすることが”流行っている”ようにみえるが、余り益のあることとは思われない。

一次だ、二次だというのは、学者の世界の論文でいうことであって、歴史書全般について同じ形式や要件を当てはめる必要は全くないと考えている。

何故なら、単純にいって読者の方々が読みにくいからである


いや、何か壮大な勘違いをしているようですが、史学で史料批判とか史料の等級分けをするようになったのは最近じゃないですよ。等級わけは明治時代、史料批判は江戸時代の前期水戸学(徳川光圀=水戸黄門あたり)からですから、全然、近年ではないです。

この原田伊織氏という方、水戸学を徹頭徹尾バカにして「水戸学は狂っている」「水戸藩は愚劣と言えないほど愚劣な藩」とちょっと異常な言葉でけなし倒しているんですけど、水戸学は近代史学に色々貢献しているのにそれを全く理解しないでメチャクチャな話をするのはあんまりです。しかもその理由が、

「読者が読みにくい」

はすごい。呉座勇一先生の『応仁の乱』が売れている現在、あまりにも読者をバカにしすぎているんではないですか?それから「皮膚感覚で歴史を感じる」一種の超能力の話はどこへ?

  2,参考文献は時代小説。 原田伊織
原田伊織1
参考文献に司馬遼太郎「街道をゆく」がずらり並ぶのにはたまげました。あれも一種の小説だよねえ。佐藤雅美の時代小説というのもすごい。 北大路欣也がテレビ朝日でやっていた『八州廻り桑山十兵衛』の原作者ですよ?時代小説に出てきたことが全て史実と思っているのかな?

そもそも川路聖謨(かわじとしあきら)って膨大な日記を残した人なんですよ。平凡社から活字化されて東洋文庫として出ている。小栗上野介も蜷川新の史書や『小栗忠順のすべて』(新人物往来社刊)という入手しやすい史書が複数あるのになぜ時代小説を使うのか?

無責任な医療情報が大量生産されるカラクリ…「コンテンツファーム」

BuzzFeed Newsの井指啓吾記者の力作記事「その記事、信頼できますか? 無責任な医療情報、大量生産の闇 水素水、ブラックシード…」(https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/welq-01?utm_term=.qhZNnePMJb#.plpGlMp4WP)  を読んで、私はうーんと考え込んでしまった。

webディレクターを長年やってきた僕としては、非常に憂慮すべき事態になっているし、それまでこの問題に気づいていながら何の手も打っていない自らの無力にも思い至ったのである。

この問題について
井指記者にTwitterで若干の情報提供をしたところ喜んでいただいたようだったので、業界人としてこの問題について書いておこうと思う。少しでもこのような無責任な医療情報が減ることを望みたい。

この無責任な医療情報を量産しているのは、主に「アフィリエイター」と言われる人たちではないかと思うが、この手の手法は私が記憶する限り二〇〇九年頃には既にあったと思う。当時、SEO対策の中に「ワードサラダ」「コンテンツファーム」などの手法が有り、特に今回問題になっている無責任な医療情報は
「コンテンツファーム」の一種と言っていいと思う。

「コンテンツファーム」は、要するにインチキSEOである。業界用語でブラックハットSEOともいう。
「質の低い記事を大量生産することで、アクセスを稼ぎ、何かの目的を達成しようとするもの」なのである。もちろん、検索エンジンから見ればご法度の行為で、Googleは何度もその手のサイトを検索順位の圏外に押し出しているのだが、手を変え品を変えしてアフィリエイターはコンテンツファームをやっている。


既に2011年には、Googleがこの問題に対して警告を発している。SEOの専門家として名高い「海外SEO情報ブログ」の鈴木謙一氏によると、コンテンツファームには以下のような種類があるという。(https://www.suzukikenichi.com/blog/what-is-content-farm/より引用)

  • スクレイピング
    他のサイトからコンテンツをコピーしてページを自動生成したコンテンツ
  • 自動生成したコンテンツ
    完全に自動化されたものもあるし、多少人の手が加えられたものもあります。
  • 信ぴょう性が担保されていない投稿サイト
    一般人のユーザー同士が助けあうQ&Aサイトは、素人が回答する場合も多いです。
  • 既存のコンテンツを書き直したコンテンツ
    単語を変えたり語順を入れ替えたり、でも言ってることは同じ。
  • 宣伝のためのコンテンツ
    見返りに報酬をもらうために書く、商品やサービスのレビュー記事。
  • ウィキ
    百科事典タイプのコンテンツ
こういったコンテンツファームについては、Google側も対策を打ち、検索エンジンのアルゴリズムを何度も何度も変更し、少なくとも自動生成やコピペコンテンツについては相当な対策がなされている。ところが、問題は「既存のコンテンツの書き直し」である。これは現在の検索エンジンのアルゴリズムでは検出はなかなかできない。だから、無責任な医療情報のコンテンツファームがはびこってしまうのだ。

こういうサイトの多くは、連絡先すら明らかにしていない。独自ドメインを取り、お問い合わせ窓口を作らなければ、事実上抗議も何も出来ないようなサイトを作れるからである。ドメイン業者がそういうサイトについて取り組みをしたという話も私はあまり聞いたことが無い(本来はドメイン業者が対処すべきだと思うが)。どうして未だにこのようなアングラサイトみたいなことがまかり通るのだろうか?

こういうことばかりやっていると、ウェブ業界はますます信頼を失い、若い人が入ってこなくなり、ブラック業界になってしまうように思う。なんとかしなければならない。
ギャラリー
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  • 岩手・中尊寺のわんこそば
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