BuzzFeed Newsの井指啓吾記者の力作記事「その記事、信頼できますか? 無責任な医療情報、大量生産の闇 水素水、ブラックシード…」(https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/welq-01?utm_term=.qhZNnePMJb#.plpGlMp4WP)  を読んで、私はうーんと考え込んでしまった。

webディレクターを長年やってきた僕としては、非常に憂慮すべき事態になっているし、それまでこの問題に気づいていながら何の手も打っていない自らの無力にも思い至ったのである。

この問題について
井指記者にTwitterで若干の情報提供をしたところ喜んでいただいたようだったので、業界人としてこの問題について書いておこうと思う。少しでもこのような無責任な医療情報が減ることを望みたい。

この無責任な医療情報を量産しているのは、主に「アフィリエイター」と言われる人たちではないかと思うが、この手の手法は私が記憶する限り二〇〇九年頃には既にあったと思う。当時、SEO対策の中に「ワードサラダ」「コンテンツファーム」などの手法が有り、特に今回問題になっている無責任な医療情報は
「コンテンツファーム」の一種と言っていいと思う。

「コンテンツファーム」は、要するにインチキSEOである。業界用語でブラックハットSEOともいう。
「質の低い記事を大量生産することで、アクセスを稼ぎ、何かの目的を達成しようとするもの」なのである。もちろん、検索エンジンから見ればご法度の行為で、Googleは何度もその手のサイトを検索順位の圏外に押し出しているのだが、手を変え品を変えしてアフィリエイターはコンテンツファームをやっている。


既に2011年には、Googleがこの問題に対して警告を発している。SEOの専門家として名高い「海外SEO情報ブログ」の鈴木謙一氏によると、コンテンツファームには以下のような種類があるという。(https://www.suzukikenichi.com/blog/what-is-content-farm/より引用)

  • スクレイピング
    他のサイトからコンテンツをコピーしてページを自動生成したコンテンツ
  • 自動生成したコンテンツ
    完全に自動化されたものもあるし、多少人の手が加えられたものもあります。
  • 信ぴょう性が担保されていない投稿サイト
    一般人のユーザー同士が助けあうQ&Aサイトは、素人が回答する場合も多いです。
  • 既存のコンテンツを書き直したコンテンツ
    単語を変えたり語順を入れ替えたり、でも言ってることは同じ。
  • 宣伝のためのコンテンツ
    見返りに報酬をもらうために書く、商品やサービスのレビュー記事。
  • ウィキ
    百科事典タイプのコンテンツ
こういったコンテンツファームについては、Google側も対策を打ち、検索エンジンのアルゴリズムを何度も何度も変更し、少なくとも自動生成やコピペコンテンツについては相当な対策がなされている。ところが、問題は「既存のコンテンツの書き直し」である。これは現在の検索エンジンのアルゴリズムでは検出はなかなかできない。だから、無責任な医療情報のコンテンツファームがはびこってしまうのだ。

こういうサイトの多くは、連絡先すら明らかにしていない。独自ドメインを取り、お問い合わせ窓口を作らなければ、事実上抗議も何も出来ないようなサイトを作れるからである。ドメイン業者がそういうサイトについて取り組みをしたという話も私はあまり聞いたことが無い(本来はドメイン業者が対処すべきだと思うが)。どうして未だにこのようなアングラサイトみたいなことがまかり通るのだろうか?

こういうことばかりやっていると、ウェブ業界はますます信頼を失い、若い人が入ってこなくなり、ブラック業界になってしまうように思う。なんとかしなければならない。