群龍天に在り(webディレクターと歴史好きの雑記帳)

webディレクター兼雑誌記者の松平俊介が書いているブログです。

web技術者・web記者の松平俊介の江戸時代とweb技術についての雑記ブログです。web技術者の傍ら、雑誌記者として各種月刊誌・webメディア『ガジェット通信』に執筆してきました。 webの時事問題や、web制作、ウェブマーケティング、江戸時代史や『江戸しぐさ』批判などが主な執筆範囲。 これまで書いてきた主な記事→http://rensai.jp/author/touryuuuan

東京下町の歴史

上野「ちゅら海酒蔵」のチャンプル定食

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上野駅からすぐの沖縄料理店のちゃんぷる定食である。沖縄そばがついてくるのが嬉しい。
ちゃんぷるは沖縄料理の炒めものでまずかろうはずがない。眺めも良い。



「巣鴨のお地蔵さん」真性寺銅造地蔵菩薩坐像

巣鴨地蔵
(写真は筆者撮影、いつも香華の絶えない巣鴨のお地蔵さん)

「巣鴨のお地蔵さん」というと高岩寺のとげぬき地蔵を連想される方も多いでしょうが、
実はとげぬき地蔵像は秘仏で拝観することが出来ません。
巣鴨にはもう一つのお地蔵さんがおられます。それが「巣鴨・真性寺 銅造地蔵菩薩坐像」
(東京都有形文化財、昭和45年8月3日指定)です。 こちらは開門時間内であればいつでも
参拝することが出来ます。
このお地蔵さんは文化財指定書によれば高さ268センチという巨大な大仏で、江戸の街道の発端に
安置された「江戸六地蔵」の一つです。正徳四年(1714)に鋳物師の太田駿河守正儀が鋳造し、八百屋お七の彼氏と言われた(勿論伝説で史実ではない)地蔵坊正元が発願したものです。

ちょうど巣鴨は旧中山道の発端で、おばあちゃんの原宿として知られる「巣鴨地蔵通り商店街」はちょうど街道筋を走っています。とげぬき地蔵の高岩寺は1891年(明治24年)に湯島から移転してきた寺で、これで巣鴨にお地蔵さんを奉安するお寺が2つあることになりました。一応地元の人達の間では、「巣鴨のお地蔵さん」という時には真性寺銅造地蔵菩薩坐像、「とげぬき地蔵さん」という時には高岩寺本堂(国登録有形文化財)を指していますが、あまり厳密には区別されていないようです。

なお、門前市でやたらに売られている塩大福は、昭和20年頃に地元の商店主が埼玉の郷土銘菓「塩あんびん」を模して作り始めたものが広まったもので、江戸時代からのものではありません。

参考文献)東京都の文化財(東京都・編) 

川本三郎「時代劇ここにあり」

李白は有るジャンルでは傑出していて群拔を抜いている。しかし有るジャンルでは杜甫に続いて上手なれども、杜甫よりは劣りたる処がある。ここらが文の妙処と云ふものぢゃ。」(by服部南郭「唐詩選国字解」)

東京下町の人々は時代劇を見るのを楽しみにしていた。「聞き書 東京の食事―日本の食生活全集」( 農山漁村文化協会)はイデオロギー臭がなく、東京下町の生活を愚直に記した書として大変尊いものであるが、「正月になると時代劇映画を見に行きます」というのが年中行事として書かれている。時代劇の歴史くらい大事なものもなかなかないのである。しかしこれを書くのも大変難しい。時代劇は星の数ほど有る。そしていまも少ないながら作られている。生きている伝統文化である。甚だ困難であるに相違ない。

川本三郎「時代劇ここにあり」はそれに挑んだ作品である。結局こういうのは「唐詩選」「三体詩」と同じで、どれを取るかに依って本の値打ちが決まる。この本は全善全美とまでは言えないが、かなり其の所を得ている。要するに良く出来た時代劇史である。

時代劇ここにあり
川本 三郎
平凡社
2005-10


アマゾンの書評から収録作品を引用すると…

血槍富士 内田吐夢
関の彌太ッペ(関の弥太ッぺ) 山下耕作
荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻 森一生/黒澤明
十三人の刺客/大殺陣/十一人の侍 工藤栄一(これを入れないと話にならない)
座頭市物語 三隅研次
薄桜記 森一生/伊藤大輔
切腹 小林正樹
股旅 市川崑
ひとごろし 大洲斉
新撰組始末記 三隅研次
下郎の首 伊藤大輔
侍 岡本喜八
暗殺 篠田正浩
城取り 舛田利雄
子連れ狼 三隅研次
吶喊 岡本喜八
宮本武蔵 一乗寺の決斗 内田吐夢
宮元武蔵 巌流島の決闘 内田吐夢
忍びの者 山本薩夫
十七人の忍者 長谷川安人
上意討ち 拝領妻始末 小林正樹
股旅 三人やくざ 沢島忠
六人の暗殺者 滝沢英輔
三匹の侍 五社英雄
眠狂四郎勝負 三隅研次
斬る 三隅研次
鳳城の花嫁 松田定次
酒と女と槍 内田吐夢
沓掛時次郎・遊侠一匹 加藤泰
鍔鳴浪人 荒井良平・・・1939年版。内出好吉の1950年版とは別
赤毛 岡本喜八
地獄の剣豪 平手造酒 滝沢英輔
月形半平太(1956) 衣笠貞之助
不知火検校 森一生
反逆児 伊藤大輔
佐々木小次郎(1967) 稲垣浩
いのちぼうにふろう 小林正樹
椿三十郎 黒澤明
用心棒 黒澤明
冷飯とおさんとちゃん 田坂具隆
獣の剣 五社英雄
中山七里 池広一夫
たそがれ清兵衛 山田洋次
ひとり狼 池広一夫
真剣勝負 内田吐夢
柳生武芸帳 稲垣浩
十兵衛暗殺剣 倉田準二
雨あがる 小泉堯史/黒澤明(原案)
二人の武蔵 渡辺邦男
瞼の母 加藤泰・・・稲垣浩「番場の忠太郎 瞼の母」、中川信夫「番場の忠太郎」
真田風雲録 加藤泰
忍びの者 霧隠才蔵 田中徳三
独眼竜政宗(1959) 河野寿一・・・大河ドラマではなく映画版(ただし大河ドラマはこの作品を時代考証してリメイクしたような所がある)
暴れん坊兄弟 沢島忠
草間の半二郎 霧の中の渡り鳥 内出好吉
戦国野郎 岡本喜八
幕末太陽傳 川島雄三
風の武士 加藤泰
御金蔵破り 石井輝男
無宿人別張 井上和男
五瓣の椿 野村芳太郎/井手雅人
鞍馬天狗 角兵衛獅子 大曾根辰夫
鞍馬天狗 天狗廻状 大曽根辰夫
道場破り 内川清一郎
続・道場破り 問答無用 菊池靖/松野宏軌/内川清一郎
座頭市 血煙り街道 三隅研次
新座頭市 破れ!唐人剣 安田公義
大忠臣蔵 大曾根辰夫
新撰組 沢島忠
鞍馬天狗 鞍馬の火祭り 大曾根辰夫
大殺陣・雄呂血 田中徳三
斬る 岡本喜八
狼よ落日を斬れ 三隅研次
宮元武蔵/続宮元武蔵 一乗寺の決斗/決闘巌流島 稲垣浩
博徒ざむらい 森一生
浮かれ三度笠 田中徳三
忍びの衆 森一生
第三の影武者 井上梅次
雪之丞変化 市川崑
河内山宗俊 山中貞雄
丹下左膳餘話 百萬兩の壺 山中貞雄
丹下左膳 乾雲の巻・乾竜の巻・昇竜の巻 マキノ雅弘
丹下左膳 乾雲乾竜の巻 マキノ雅弘
仇討崇禅寺馬場 マキノ雅弘・・・正博時代の「崇禅寺馬場」のリメイク
人情紙風船 山中貞雄
隠し剣 鬼の爪 山田洋次
風と女と旅鴉 加藤泰
剣に賭ける 田中徳三
剣鬼 三隅研次
七人の侍 黒澤明(これを入れないと話にならない)

黒澤明あり、工藤栄一あり、真田あり、伊達あり(この両者は戦国時代の伝統的な二大ヒーローである)、丹下左膳、雪之丞あり、柳生十兵衛も有る。新しいもので藤沢周平作品もある。大方の名作は取られているであろう。ただ池波正太郎作品には取られていないところが多いのが遺憾である。 

これを書きながら中村吉右衛門主演の「鬼平犯科帳」を見ているのであるが、蟹江敬三演じる小房の粂八というのは関の宿場育ちの母親を知らない渡世人。「関の弥太っぺ」をオマージュしたキャラなのですね。そして、粂八と酒を飲みながら吉右衛門の端正な殿様が「ワシもその母の名を知らぬ」というところを言うのがキーになっている。結局これは下層民に対する天皇家のオマージュなのではないか。長谷川平蔵
宣似は贈正二位鎮守府将軍・藤原秀郷を祖とする長谷川氏下河辺氏流で、遡れば藤原魚名の系統であるという。大和国長谷川に住んだため、長谷川氏を名乗ったという名家。長谷川平蔵は本名藤原宣似、レッキとした藤原氏の子孫で天皇家の外戚なのである。

こういうことがわからないと時代劇を見ても魅力が半減する。これを読むとそれが少し分かるのである。類書は少ない。労作と言っていい。こういう本で少しでも日本文化の奥深さを知ってもらいたい。 

千鳥ヶ淵戦没者墓苑の謎

千鳥ヶ淵戦没者墓苑というところを、最近ちょこちょこと調べているのですが、調べれば調べるほどフシギなところですね。

◎千鳥ヶ淵戦没者墓苑で供養をする宗派としない宗派
公式サイトの「平成25年度主要慰霊行事予定表(http://www.boen.or.jp/appendix300.htm)」によると、
以下の宗教・宗派などが供養の読経などをしているようです。

法華宗(本門流)宗務院
臨済宗妙心寺派
妙智會教団(日蓮宗系)
阿含宗関東別院(※本山は京都大菩提寺、真言宗御室派系修験道)
カトリック麹町 聖イグナチオ教
新日本宗教団体連合
八・十五平和祈祷会実行委員会(※キリスト教系)
日蓮宗
浄土真宗本願寺派(西本願寺)
立正佼成会
解脱会浅草支部(真言宗醍醐寺派系修験道)
八光山
解脱会東京第一教区(真言宗醍醐寺派系)

八光山は公式サイトもなくよくわからないのですが、お題目を上げ…と書いてあるところを見ると日蓮宗系なんでしょうか?
こうしてみると、ちょっと面白いことに気づきます。
・日蓮宗系が最も多い
・真言宗の修験道系新宗教がまじめに供養している
・カソリックも多い
・伝統仏教の本山がちゃんと供養しているのは妙心寺と西本願寺ぐらいで非常に少ない

来ていない宗派の方が多いわけです。仏教十三宗のうち、分家筋も含めてきていないのは、
法相宗、華厳宗、律宗、天台宗、融通念仏宗、浄土宗、曹洞宗、時宗、黄檗宗
と、こんなにあるんですね。

真言修験道とカソリックは戦後靖国神社護持運動の時に頑張っていたのでその流れでしょうか。
日蓮宗は国家主義的な一面があるんでしょうね。

書評『江戸300藩 バカ殿と名君』




徳島文理大教授で、歴史作家の八幡和郎氏によるちょっと変わった江戸300藩史である。

実は、この本、旧幕臣の戸川残花の『三百諸侯』や、幕府隠密の報告書『土芥寇讎記』(どかいこうしゅうき)などの野史をかなり参照して書かれているようで、幕府の正史『寛政重修諸家譜』などを元とした中嶋繁雄『大名の日本地図』(文春新書)などとは全く書き方が違う。

中嶋繁雄氏は出来るだけ公式史料を元に書こうとしているが、八幡和郎氏は歴史の裏を読もうとする。そして戸川や『土芥寇讎記』などの、非公式史料を結構引用し、「名君と言われている人でも本当に名君なのか?」「バカ殿は本当に馬鹿なのか?」を検証しようとする。

例えば、「保科正之は中村彰彦がしきりに名君だと賞賛しているが実態は違うだろ?お手盛りとバラマキ以外の功績は果たしてあるのか?」と追及したり、「徳川頼房はちょっと精神的にアレなんじゃないの?」とつついたり、相当辛辣な評価が多い。

この本は改訂されて文庫になっているが、新書版のほうが好みであった。終わり方が歌舞伎「将軍江戸を去る」を引用していて粋なので、こっちのほうが私の好みである。

軽い本だと思ったが結構ヘビーでした。
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